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神楽坂税理士法人税務FAQ > 自宅の土地と相続税について教えてください

税務FAQ

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Q. 高齢化社会の到来と税制 第一弾 「自宅の土地と相続税について教えてください」

A. 「小規模宅地等の特例」の制度の利用について

ご存知の方も多いと思うが、自宅の土地については地積240㎡まで相続税評価額を80%減額できるという「小規模宅地等の特例」の制度がある。裏を返せば2割の評価で済むのである。ただしこれほどの優遇を受けられるのであるから、その要件は厳しい。その土地を①誰が相続するのか、そして②申告期限まで居住するのか等といった要件だ。

しかし、今回のテーマは上記①、②の前提として、対象となる自宅の土地がそもそも被相続人の生活の拠点となっていたものであるか、つまり「被相続人等の居住用宅地等」に該当しているかという問題である。

簡単な例として父と子の親子二人の家族があったとしよう(息子は別に家を持っている)。父は年齢とともにめっきり衰え、子供も仕事が忙しく父の世話が難しくなってきた。そこで父は老人ホームに入居することになった。

そして父は老人ホームに入所し、家に帰ってくることなく死亡してしまった。この場合、入所する前に居住していた自宅の土地は「小規模宅地等の特例」の適用を受けられない可能性がある。なぜなら老人ホームに入所した段階で、生活の拠点を自宅から移転してしまったと考えられるからである。

ただし、相続の直前において自宅に居住していなかったといっても、次のような場合には生活の拠点は自宅にあると考えてよいのではないか。例えば、病気の療養のために入院したが、回復したらいつもで自宅に戻れるように維持管理しており、その自宅を他人に貸したりしていない、というものだ。

老人ホームとは別に、特別養護老人ホームはどうだろうか。この入所者については介護を受ける必要があるものに当たるものとして取り扱われ、病気治療のための入院と同じように見られるため、「被相続人等の居住用宅地等」に該当し、「小規模宅地等の特例」の適用を受けられる可能性がある。

ここまでの話だと「小規模宅地等の特例」の適用を受けるのは大変厳しいように思えるだろう。しかし例えば子供が父と同居し、父の療養費等を負担し、生計が同一と認められる場合には、別途「生計を一にしていた親族の居住用宅地等」として一定の要件を満たせば「小規模宅地等の特例」の適用により80%減額評価を受けられるのである。

以上、簡単な例で「小規模宅地等の特例」のお話をしたが、実際はさまざまな要素が絡んでくる。ご心配やご不安を持ちの方は、是非一度ご相談いただきたい。

この件については国税庁のホームページにも質疑応答事例で解説されているので、一度ご覧ください。http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/sozoku/10/07.htm